改訂新版 世界大百科事典 「ナガヅカ」の意味・わかりやすい解説
ナガヅカ (長柄)
Stichaeus grigorjewi
スズキ目タウエガジ科の海産魚。銚子および山陰地方以北,北海道,サハリン沖などに分布する寒流性の魚である。体は細長く,全長80cmに達する。体色は黄褐色の地色に多数の黒褐色斑が密布している。北日本を中心に,ワラヅカ,ガジ,ナガガジ,ガツ,ガツナギ,サイズ,ズナなど多くの地方名をもつ。水深300mまでの砂泥底にすむ。産卵期は5~6月で,この時期には浅いところに移動してくる。近縁のタウエガジなどと同様,本種の成熟した卵巣にはディノグネリンと呼ばれる毒がある。食べると,嘔吐,腹痛,下痢,倦怠感,脱力感,めまいなどの症状を呈する。肉には毒はなく,肉質は白身で堅く,すり身やかまぼこなどの練製品の材料として上等なものである。トロール網漁業や底剌網漁業で漁獲される。北海道内浦湾や日本海北部水域で漁獲量が多い。
執筆者:望月 賢二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報