ガントナー(読み)がんとなー(その他表記)Joseph Gantner

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガントナー」の意味・わかりやすい解説

ガントナー
がんとなー
Joseph Gantner
(1896―1988)

スイスの美術史学者。バーゼル大学教授、国際美学会会長などを歴任ウェルフリン高弟として知られる。美術史研究の方法論的概念として「プレフィグラツィオーン」を提唱。それは芸術的創造プロセスにおける、形象(フィグール)に至るいっさいの予備的形式、前段階を意味し、これが様式根源にかかわるとする考え方で、ここでは「未完成(ノン・フィニート)」の作品が重要視される。著書に『人間像の運命』(1958)、『ロダンミケランジェロ』(1953)、『レンブラント』(1964)などがある。

鹿島 享]

『ガントナー著・中村二柄訳『レンブラント』(1980・岩崎美術社)』『ガントナー著・中村二柄訳『心のイメージ』(1988・玉川大学出版部)』『ガントナー著・藤田赤二・新井慎一訳『レオナルドの幻想(ヴィジョン)』(1992・美術出版社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガントナー」の意味・わかりやすい解説

ガントナー
Gantner, Joseph

[生]1896.9.11. アールガウ
[没]1988
ベルフリンのあとをうけたドイツ・バーゼル学派の美術史家。美術作品の生成の問題に関する独自の研究によって,一つの作品の形成は最終的な形象 (フィグラチオン) に到達する以前に,先形象 (プレフィグラチオン) の多種多様な中間段階を含む一つの過程であるとする理論を展開。『スイス美術史』 (1936) ,『ロマネスク彫塑』 (41) ,『ロダンとミケランジェロ』 (53) ,『人間像の運命』 (58) ,『レンブラントとクラシック形式の変遷』 (64) ,『ゴヤ』 (74) などの著書がある。

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