キジカクシ(読み)きじかくし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キジカクシ」の意味・わかりやすい解説

キジカクシ
きじかくし / 雉隠
[学] Asparagus schoberioides Kunth

ユリ科(APG分類:キジカクシ科)の多年草。茎は高さ0.5~1メートルでよく分枝し、小枝には稜(りょう)がある。葉は膜質の鱗片(りんぺん)状に退化する。鱗片の腋(わき)から出た小枝は葉状線形で長さ1、2センチメートル、先端はとがる。雌雄異株。6~7月、葉腋(ようえき)に2~4個の花をつける。花は淡黄緑色、鐘形で長さ約3ミリメートル。短い花柄の上端には関節がある。9~10月に球形赤色の小さい果実を形成する。北海道から九州の山地や丘陵地の草原やぶに生え、広く中国、朝鮮半島、樺太(からふと)(サハリン)に分布する。名は、キジも隠すほどに葉がよく茂るからという。

河野昭一 2019年3月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キジカクシ」の意味・わかりやすい解説

キジカクシ(雉隠)
キジカクシ
Asparagus schoberioides

ユリ科の多年草。山地の草地に自生し,茎は高さ 50~100cm,円柱状で稜線をもつ。葉は細い枝のものでは白い膜質の鱗片に退化し,幹と太い枝のものでは逆方向を向いたとげになっている。葉状枝は3~7本ずつ束生し,そのひとつひとつは3稜をもつ鎌形をしている。5~6月に,葉腋に3~4個ずつの白色の小花をつける。花被片は6枚。果実は液果で赤熟する。同属のアスパラガスはヨーロッパ原産で,幼茎を食用にするために栽培されている。また観葉植物として植えられるシノブボウキ A. plumosusも同属の植物で,やはり単にアスパラガスの名で呼ぶ。

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