改訂新版 世界大百科事典 の解説
キュウリュウゴミムシダマシ
Palembus dermestoides
甲虫目ゴミムシダマシ科の昆虫。本州以南のほか,中国,東南アジアなどに分布する。成虫は黒褐色で光沢がある。触角は先端へ太まり,胸部背面は後縁の両側にくぼみがある。体長6mm内外。穀類,穀粉,乾燥果実をはじめ乾いた動植物質のものを広く食べる。成虫は食物に数個の卵を固めて,または不規則に産みつける。雌1個体で通常300~400個を産む。孵化(ふか)した幼虫は夏季では約50日後に蛹化(ようか)するが,その間に8回くらい脱皮する。幼虫は淡黄褐色で細長く,腹部末端節は円錐形で小さい。胸脚を有し活発に移動する。さなぎの期間は夏季では約1週間で短い。適温であれば年に数世代を繰り返す。本種は別名,九竜虫として知られる。薬草などを与えて飼育し,成虫,幼虫を強精剤などの目的で生きたまま飲むことが戦前と戦後に流行したが,その効果については医学的に明らかでない。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報