キリシタン文化(読み)キリシタンぶんか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キリシタン文化」の意味・わかりやすい解説

キリシタン文化
キリシタンぶんか

安土桃山時代から江戸時代初期にかけ,キリスト教を通じて西洋から伝来した文化の総称。日本文化史上に特異の地位を占めた。慈善事業としては,貧民救済,医療のため各地に養老院,病院を設置し,教育活動としては,宣教師を中心にコレジヨセミナリオなどでヨーロッパ風の教育を行い,哲学,神学,ラテン語,音楽などを教授し,地方農村でも寺子屋風の児童教育を行なった。出版活動の面では,いわゆるキリシタン版を刊行し,教義書,宗教,文学などを伝えた。信仰生活の分野では,信徒は地方教会を中心にミサ説教に参加し,洗礼,結婚,葬儀を営み,降誕祭,復活祭も行なった。学芸の分野では,天文学を中心に地理学,医学などの面で活躍し,特に医学では外科が重視され,後世まで南蛮流外科の名で知られる。また西洋暦,七曜制,世界地理の知識も得,宣教師による日本地理の調査も行われた。美術としては,現存品は少いが,長崎大浦天主堂の『聖母十五玄義図』,浦上天主堂の『大天使ミゲル図』などが代表的である。日本人画家の作もあり,南蛮屏風もキリシタン美術の一種といえよう。教会音楽としてグレゴリオ聖歌パイプオルガンなどが伝えられた。風俗の面でも各風習,言語をはじめ,いわゆる南蛮風の衣食料,嗜好品が流行した。キリシタン文化は総じて禁教以後は弾圧されたが,南蛮文化として科学,日用調度品,衣料などには影響が強く残り,医学をはじめ実学的分野ではむしろ指導的地位を占めたが,やがて蘭学にその地位を譲った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キリシタン文化」の意味・わかりやすい解説

キリシタン文化
きりしたんぶんか

南蛮文化

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