化学分析を行うための基本となる理論,技術について研究する化学の一分野。化学分析は一般にその対象とする物質の種類により無機化学分析と有機化学分析に分けられるが,手段からみて化学的方法のみならず物理的方法も広く用いられ,幅広い分野の理解が必要である。
化学の分野に分析analysisの語を導入したのはR.ボイルで,定量的な測定の重要性はA.L.ラボアジエによって強く認識され,やがて化学の基本法則を生み出す芽となった。容量分析はJ.L.ゲイ・リュサックにより19世紀初頭に基礎が築かれ,ドイツのモールKarl Friedrich Mohr(1806-79)により改良がなされた。19世紀半ばには分析化学雑誌《Zeitschrift für analytischen Chemie》を創刊(1845)したドイツのフレゼニウスKarl Remegius Fresenius(1806-79)が古典的な分析化学の手法を確立,また,R.W.E.ブンゼンとG.R.キルヒホフの発光分光分析によるセシウムとルビジウムの発見(1859)は,19世紀後半の多くの新元素発見への道を開く画期的なものであった。20世紀に入るとM.S.ツベートによるクロマトグラフィーの創始(1906),F.プレーグルの微量元素分析法の完成(1913)など多くの新手法の開発・進展がみられるが,とくに電気化学的手法,分光学的手法の発展,第2次大戦以降のエレクトロニクス技術を背景としたいわゆる機器分析の発展はめざましい。
執筆者:日向 実保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
物質を分析する技術や理論などを研究する化学の一分野。分析化学はその性質上、化学のもっとも基礎的、基本的学問分野として重要であるばかりでなく、化学のみならず、生物、医学、薬学その他あらゆる分野にわたって重要な役割を果たしている。対象とする物質によって無機分析、有機分析などとよぶことがあり、その手法から、化学分析と物理分析のように分ける場合もある。また分析する目的によって、物質の成分を同定する定性分析と、構成成分の量的割合を決定する定量分析とに分けられる。さらに定量分析も、天秤(てんびん)その他で直接重量を測定する重量分析や、滴定による容量分析、あるいは各種の分析機器を用いて分析を行う機器分析などに分けられている。
[中原勝儼]
化学分析を対象とする化学の一分野.伝統的な化学的方法による定性分析・定量分析の基本的重要性は依然失われないが,分光分析,蛍光X線分析,質量分析,クロマトグラフィー,ポーラログラフィー,原子吸光分析など,各種の高性能な機器分析が広く用いられ,物質の表面構造の解明,環境汚染の測定などに重要な役割を果たしている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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