パプア・ニューギニア、フライ川河口のキワイ島を中心に住んでいる民族。この地域の気候は年間を通じて高温多湿で、ヤムイモ、タロイモ、サゴヤシ、バナナを中心とした農耕、および弓矢を使っての狩猟、またカヌーで外海に出ての交易や漁労を生業とする。居住地の大部分が低地の沼沢地であるため、洪水を避けて地上2メートルの高さにつくられたロングハウスに住む。かつては大きいものでは幅8メートル、長さ150メートルに達した。また居室は男性用と女性・子供用とに分かれている。
19世紀後半まで首狩り族として恐れられ、伝承によれば、正式な結婚の条件として男は敵の首級をあげる必要があったという。父系で外婚制のトーテム集団をもち、だれもがカメ、ウミヘビ、タロイモ、タケといった動植物につながる自分のトーテムをもつが、その由来ははっきりしない。もっとも重要かつ秘儀的な儀礼である成年式では、独特の歌と踊りを伴う長く複雑な過程が繰り広げられる。成年式が済むと女は結婚することを、男は戦争に参加することを許される。
[片多 順]