クナシリ場所(読み)くなしりばしよ

日本歴史地名大系 「クナシリ場所」の解説

クナシリ場所
くなしりばしよ

国後くなしり島一島を対象に設定された場所(持場)。天保郷帳に「東地嶋々之分」のうち「子モロ持場之内」として「クナシリ嶋、右嶋蝦夷人居所之分、トマリベトカチフカルベツ、ヲン子トウ、シマトロ、ルヨベツ、フルカマプ、トウブツ」とみえ、広義にはネモロ場所に包含されていた。クナシリ場所は一七五四年(宝暦四年)松前藩直轄領として開設され(休明光記)、アッケシ場所、キイタップ場所(ネモロ場所の前身)と合せ「三場所と唱へ、手場所と名附、毎年上乗として若狭守家来献上の軽物取立として相下り、八月中に相登」っていたという(東蝦夷地場所大概書)。しかし松前藩は財政の逼迫により飛騨屋久兵衛から八千両以上もの借金があり、返済金の代償として七四年(安永三年)飛騨屋にクナシリ場所ほか三場所を運上金二七〇両ずつの割合で請負わせた。飛騨屋は同年と翌年に交易船を当場所に派遣したが、クナシリ島の乙名ツキノエが交易船の物資を横領し、交換の産物を渡さず乱妨したので、七六年以降交易船の派遣を中止した。しかしツキノエが交易復活を願ったので、八二年(天明二年)再び交易船がクナシリ場所に派遣された(「新北海道史」二巻)。この頃のクナシリ場所の産物は干鱈・鮫・蝶鮫皮・鯨・アサリ・鱈・蠣・アツシ・アザラシ皮・同腹子・鹿皮・鯡・魚油などであった(松前随商録)。八六年老中田沼意次が派遣した佐藤玄六郎らが調査に訪れ、その調査報告「蝦夷拾遺」には「クナジリ キイタツフより海行七里余丑寅にあり、周囲一百里余、ヲトシルベと云所に運上屋一戸あり、蝦夷皆爰に集て交易す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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