クペロン

化学辞典 第2版 「クペロン」の解説

クペロン
クペロン
cupferron

N-nitrosophenylhydroxy lamine ammonium salt.C6H9N3O2(155.16).低温でフェニルヒドロキシルアミンに塩酸の存在下,亜硝酸ナトリウムを作用させ,濾過後エーテル中でアンモニアと作用させるか,エーテル中で亜硝酸アミルとアンモニアを加えて合成する.白色粉末.融点163~164 ℃.Ka 5×10-5.水,エタノールに易溶.酸性溶液から金属イオンを沈殿させる有機試薬で,バウディッシュ試薬(Baudish's reagent)とよばれている.5% 水溶液に少量の炭酸アンモニウムを加え,密閉容器に保存して使用する.Fe,Fe,Cu,などは完全に沈殿するので,ほかの金属から分離することができる.沈殿は強熱し,金属酸化物として定量する.金属錯塩はクロロホルムやエーテルに溶けるので,抽出により金属イオン相互の分離によく用いられる.[CAS 135-20-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クペロン」の意味・わかりやすい解説

クペロン
cupferron

有機試薬。ほとんど無色結晶。融点 163~164℃。水,アルコールに可溶。酸性またはアンモニア性溶液中で種々の金属キレートをつくって沈殿する。特に三価鉄イオン,チタンジルコニウムの分析試薬として有用である。ジルコニウムの定量 (沈殿を焼き,酸化物として定量) ,鉄とマンガンとの分離,鉄とチタンとをアルミニウムとマンガンとから分離するのによく利用される。またこれら金属キレートは有機溶媒によく溶けるので,クロロホルムなどによる溶媒抽出が可能である。

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