クモバエ(読み)くもばえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クモバエ」の意味・わかりやすい解説

クモバエ
くもばえ / 蜘蛛蠅

昆虫綱双翅(そうし)目環縫(かんほう)亜目クモバエ科Nycteribiidaeの昆虫の総称。体長3ミリメートルぐらいの無翅のハエで、褐色の体に剛毛が発達し、つめが大きい。体は一見クモを思わせるので名づけられた。成虫はコウモリ類に体外寄生して吸血する。卵は子宮内で孵化(ふか)し、幼虫発育を完了し、前蛹(ぜんよう)で産み出され、ただちに蛹化する。この習性をもつグループはハエのなかで蛹生群とよばれている。ケブカクモバエPenicillidia jenynsiiは、頭部は円筒形で単眼を有し、毛を密生する。脚(あし)の脛節(けいせつ)には先端部に4、5列の剛毛をもつ。ニホンユビナガコウモリに寄生する、ヘラズネクモバエNycteribia parvula、ミカドクモバエN. allotopa mikadoなどは蹠節(せきせつ)側面が半円形を示す。いずれもまれな種類である。

倉橋 弘]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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