日本大百科全書(ニッポニカ) 「シラミバエ」の意味・わかりやすい解説
シラミバエ
しらみばえ / 蝨蠅
forest flies
bird flies
louse flies
flat flies
昆虫綱双翅(そうし)目短角亜目ハエ群蛹生(ようせい)類の1科Hippoboscidaeを構成する昆虫群。体は扁平(へんぺい)で、脚(あし)の基部は1対の左右が著しく離れている。頭部は大きく、複眼も大きいが、単眼は種類によっては欠くものがある。触角は3節からなるが、短小。はねは種類によって著しく異なり、大きくて幅の広いもの、長いが幅が著しく狭いもの、宿主に到達後に脱翅するものなどがあるが、いずれにしても翅脈は前縁側に著しく偏って走っている。まったく無翅の種類もある。脚はじょうぶで、つめは発達している。腹部は短く、円形または三角形に近い。ウシ、ウマ、ヒツジなどの家畜やシカなどに寄生するものと、鳥類に寄生するものがある。ときには人を襲うことも知られている。
代表的な種類に、ウマシラミバエHippobosca equinaがあり、ウマ、ウシ、イヌ、ウサギなどに寄生する。シカシラミバエLipoptena sikaeは、奈良公園のホンシュウジカにかなり寄生している。ツバメシラミバエCrataerina hirundinisは、はねは細長く笹葉(ささば)状で、先端はとがり、ツバメ類に寄生する。
[伊藤修四郎]