日本大百科全書(ニッポニカ) 「クモマベニヒカゲ」の意味・わかりやすい解説
クモマベニヒカゲ
くもまべにひかげ / 雲間紅日陰蝶
arran brown
[学] Erebia ligea
昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科に属するチョウ。日本では北海道の大雪(たいせつ)山群と利尻(りしり)島の高地帯、本州中部地方の高山帯に産し、高山チョウの1種として知られている。外国では樺太(からふと)(サハリン)、朝鮮半島(北部高山地域)よりシベリアを経てヨーロッパの北部にわたって分布する。はねの開張は55ミリメートル内外。ベニヒカゲに似ているが、後ろばねの斑紋(はんもん)(とくに裏面)に特徴がある。7~8月に高山地帯の草地に発生する。本種は1世代の完了に足掛け3年を要するもので、1年目の冬は卵で、2年目の冬は4齢幼虫で過ごす。幼虫の食草はホンモンジスゲ、タニスゲなどのカヤツリグサ科植物である。
[白水 隆]