日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラシェフスキ」の意味・わかりやすい解説
クラシェフスキ
くらしぇふすき
Józef Ignacy Kraszewski
(1812―1887)
ポーランドの小説家、批評家。ロマン主義時代の代表的作家で、のちにリアリズムへの道をたどり、ポーランド小説の水準を高めるのに大きな役割を果たした。ウィルノ(ウィリニュス)の大学に学び、秘密愛国運動に加わって2年間投獄され、晩年はドレスデンに住み、スイスで死んだ。多作で、生涯に144の小説、88の歴史小説、ほかに戯曲、文学・社会批評、歴史・哲学に関する労作など、600巻に上る作品を残した。代表作の『ウラナ』(1843)は若く美しい農婦の悲劇的な愛を描いたもので、『村の向こうの小屋』(1845)では小百姓の苦しい運命を描いた。
[吉上昭三]