クラピナ人(読み)くらぴなじん(その他表記)Krapina man

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラピナ人」の意味・わかりやすい解説

クラピナ人
くらぴなじん
Krapina man

クロアチアザグレブの約40キロメートル北方にある岩陰遺跡出土のネアンデルタール人。1899年以降、ユーゴスラビアの人類学者ゴルヤノビッチ・クランベルガーK. D. Gorjanović-Krambergerによって調査された。きわめて多数の人骨破片が発見されたが、左右眼窩(がんか)上隆起が眉間(みけん)で分離していたり、乳様突起が小さいなどの進歩的特徴がみられる。年代は第三間氷期に属し、ムスティエ文化石器を伴出する。出土する人骨が細かく粉砕されているところから、食人風習があったと推定されたが、今日では疑問視されている。

[香原志勢]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラピナ人」の意味・わかりやすい解説

クラピナ人
クラピナじん
Krapina man

クロアチアのクラピナ遺跡から 1895~1906年に発掘,報告された化石人骨。ネアンデルタール人一種。骨は断片であるが,少くとも 13体はあり,そのうち頭蓋は5個体分認められる。成人,小児骨の両方を含むが,骨は破砕され,切られ,焼かれた形跡があるために,ムスティエ文化期におけるネアンデルタール人の食人習俗証拠であると解釈されている。

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