日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラピナ人」の意味・わかりやすい解説
クラピナ人
くらぴなじん
Krapina man
クロアチアのザグレブの約40キロメートル北方にある岩陰遺跡出土のネアンデルタール人。1899年以降、ユーゴスラビアの人類学者ゴルヤノビッチ・クランベルガーK. D. Gorjanović-Krambergerによって調査された。きわめて多数の人骨破片が発見されたが、左右の眼窩(がんか)上隆起が眉間(みけん)で分離していたり、乳様突起が小さいなどの進歩的特徴がみられる。年代は第三間氷期に属し、ムスティエ文化の石器を伴出する。出土する人骨が細かく粉砕されているところから、食人風習があったと推定されたが、今日では疑問視されている。
[香原志勢]
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