クレメンス9世(読み)クレメンスきゅうせい(その他表記)Clemens IX

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレメンス9世」の意味・わかりやすい解説

クレメンス9世
クレメンスきゅうせい
Clemens IX

[生]1600.1.27./1600.1.28. トスカナ,ピストイア
[没]1669.12.9. ローマ
ピストイア出身の第238代教皇在位 1667~69)。本名 Giulio Rospigliosi。駐スペイン教皇大使,枢機卿(→カーディナル),国務長官を歴任し,1667年6月に登位。「クレメンス9世の和平」とよばれる協定(1669.1.)により,ジャンセニズムへの迫害をいったん停止させた。またフランス王ルイ14世(在位 1643~1715)が国内の教皇権を制限するガリア主義の立場をとるようになり,不和の解決に苦心した。ルイ14世はクレタ島オスマン帝国から守るために要請されたベネチア支援も拒否し,そのため 20年に及ぶ包囲攻撃を受けていた港町カンディア(→イラクリオン)は 1669年に異教徒の手に落ちた。登位以前は,宗教を主題とした戯曲歌劇の脚本家として名を馳せた。代表作に,オペラ "Il Sant' Alessio"と喜歌劇 "Chi soffre speri"がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android