ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレメンス9世」の意味・わかりやすい解説
クレメンス9世
クレメンスきゅうせい
Clemens IX
[没]1669.12.9. ローマ
ピストイア出身の第238代教皇(在位 1667~69)。本名 Giulio Rospigliosi。駐スペイン教皇大使,枢機卿(→カーディナル),国務長官を歴任し,1667年6月に登位。「クレメンス9世の和平」とよばれる協定(1669.1.)により,ジャンセニズムへの迫害をいったん停止させた。またフランス王ルイ14世(在位 1643~1715)が国内の教皇権を制限するガリア主義の立場をとるようになり,不和の解決に苦心した。ルイ14世はクレタ島をオスマン帝国から守るために要請されたベネチア支援も拒否し,そのため 20年に及ぶ包囲攻撃を受けていた港町カンディア(→イラクリオン)は 1669年に異教徒の手に落ちた。登位以前は,宗教を主題とした戯曲や歌劇の脚本家として名を馳せた。代表作に,オペラ "Il Sant' Alessio"と喜歌劇 "Chi soffre speri"がある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報