日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロコノマチョウ」の意味・わかりやすい解説
クロコノマチョウ
くろこのまちょう / 黒木間蝶
dark evening brown
[学] Melanitis phedima
昆虫綱鱗翅(りんし)目ジャノメチョウ科に属するチョウ。日本では本州南西部の暖地から四国、九州、屋久島(やくしま)、種子島(たねがしま)にかけて分布するが、本州中部地方の太平洋岸に定着するようになったのは昭和30年代以降のことである。南西諸島の奄美(あまみ)大島、沖縄本島で発見されるようになったのも1974年(昭和49)末のことである。外国では台湾、中国からヒマラヤにかけて、さらにマレー半島、スマトラ島、ジャワ島、スラウェシ(セレベス)島、フィリピンにも産する。はねの開張は70ミリメートル内外。ウスイロコノマチョウによく似ているが(とくに秋型は似る)、はねの地色は黒色みが強く、和名はこの特徴による。季節による成虫のはねの形と色彩、斑紋(はんもん)の変化が著しい。年2回または3回の発生、越冬は成虫態。日本産ジャノメチョウ科のうちで成虫で越冬するのは、本種のほかに同属のウスイロコノマチョウがある。
[白水 隆]