コクラン(その他表記)Thomas Cochrane

改訂新版 世界大百科事典 「コクラン」の意味・わかりやすい解説

コクラン
Thomas Cochrane
生没年:1775-1860

第10世ダンドナルド伯10th Earl of Dundonald。イギリスの提督,技術者。1793年海軍に入り,スペインおよびフランス所属の船舶の捕獲に活躍,1807年には下院議員となり,海軍の弊害について追及を行った。ナポレオン戦争に参加して武勲をたてるが,提督J.ガンビアとの確執がもととなって無実の罪で海軍を追放され,諸国を遍歴したのち32年に復帰した。この間1830年には圧縮空気を利用したケーソン工法ケーソン)によって特許を獲得し,これにより鋼材による橋梁(きようりよう)建設の飛躍的な発達をもたらした。この工法は深い水面下の掘削の際圧縮空気によって浸水を防ぐものであり,蒸気機関がこの時期になってようやく小型化し,移動可能になったことをふまえたものでもあった。また,この工法はシールド工法と結合し,水底トルネルや地下鉄建設にも威力を発揮した。このほかコクランは,スクリュープロペラ軍艦用蒸気機関についても研究を行った。
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コクラン
Benoît Constant Coquelin
生没年:1841-1909

フランスの俳優。ブーローニュ・シュル・メールに生まれ,国立演劇学校を卒業後,コメディ・フランセーズで26年間フィガロ役などで活躍。1892年より商業演劇に移り,97年ポルト・サン・マルタン座でロスタンの《シラノ・ド・ベルジュラック》を初演,400回上演という空前の大当りをとった。弟エルネストErnest C.(1848-1909)も喜劇俳優で,モリエールなどを好演した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コクラン」の意味・わかりやすい解説

コクラン
Coquelin, (Benoît) Constant

[生]1841.1.23. ブローニュシュルメール
[没]1909.1.27. ポントーダム
フランスの俳優。通称は「兄コクラン」。コンセルバトアールに学び,1860年コメディー・フランセーズに迎えられて,64年正式に座員となる。古典喜劇の従僕役をよくし,22歳で演じたフィガロで名声を得た。 86年に同座を離れ,ヨーロッパ,アメリカ各地を巡業,90~92年一時コメディー・フランセーズに戻ったが,再びヨーロッパ巡業に向い,以後はもっぱらブールバール劇場に出演。ルネサンス座を経て,97年,ポルト・サン・マルタン座で『シラノ・ド・ベルジュラック』を初演し,400回上演という大当りをとった。晩年はポントーダムに俳優のための養老院を創立することに専心し,自分もそこで没した。著書に『芸術と俳優』 (1880) がある。弟のエルネスト (48~1909) も兄に劣らぬ名優であり,息子ジャン (1865~1944) も俳優となった。

コクラン(黒蘭)
コクラン
Liparis nervosa

ラン科の多年草。茨城県以南九州までと,中国,台湾,南アジアに分布し,常緑広葉樹の林床に生える。偽球茎は多肉質の円柱形,暗緑色で,前年の偽球茎が株もとに並立する。葉は2~3枚水平につき,広楕円形で鋭頭,長さ5~12cm,幅 2.5~5cmで葉脈間が広い。6~7月,高さ 15~30cmの花茎に,5~10個の暗紫色花をまばらな総状につける。包は三角形,膜質で鋭頭。萼片は狭長楕円形で鈍頭。側花弁は線形,鈍頭で,両側に広がって開く。唇弁は楔状の倒卵形で中央に浅い溝があり,側萼片とほぼ同長で,上半分は反曲し,先端はややくぼむ。果実は棍棒状の紡錘形で長い柄があり直立する。和名は花色に基づく。

コクラン
Cochrane, Thomas, 10th Earl of Dundonald

[生]1775.12.14. アンスフィールド
[没]1860.10.30. ロンドン
イギリスの海軍軍人。1793年海軍に入り,フランス革命戦争中,諸海域で活躍。1814年無実の罪で海軍を追われ,1817~23年独立前夜のチリ,1823~25年対ポルトガル戦争中のブラジル,1827~28年独立戦争中のギリシアの各国海軍を指揮。1832年イギリス海軍に復帰。軍艦に蒸気機関を用いることを提案した。1851年大将。

コクラン
Cochran, Sir Charles Blake

[生]1872.9.25. サセックス,リンドフィールド
[没]1951.1.31. ロンドン
イギリスの興行師。演劇,サーカス,レスリングなど,さまざまな興行を企画。 M.ラインハルト演出の『奇跡』 (1911) や,N.カワードの多くの作品を上演。

コクラン

「ブライ」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「コクラン」の意味・わかりやすい解説

コクラン

フランスの俳優。コメディ・フランセーズでデビュー,1897年ロスタンの《シラノ・ド・ベルジュラック》で空前の大当りをとった。1900年以来サラ・ベルナールと一座を組んで米国巡業。主著《俳優術》など。弟のエルネスト・コクランErnest Coquelin〔1848-1909〕も喜劇俳優として定評があった。
→関連項目ギトリー[父子]

コクラン

第10代ダンドナルド伯。英国海軍提督,発明家。一時期海軍を追放されて諸国を遍歴するが,この間の1830年圧縮空気によるケーソン工法の特許を取得,橋梁建設に飛躍的進歩をもたらした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コクラン」の意味・わかりやすい解説

コクラン(黒蘭)
こくらん / 黒蘭
[学] Liparis nervosa (Thunb.) Lindl.

ラン科(APG分類:ラン科)の多年草。偽球茎は円柱状で、新しい偽球茎の上に葉を2、3枚つける。6~7月、葉間から花茎を伸ばし、まばらに数花をつける。花は暗紅紫色で径1センチメートル、花被片(かひへん)は平開または反転し、唇弁は倒卵形で強く反転する。関東地方以西の暖地の常緑広葉樹林の林床に生え、中国にも分布する。

 近縁のユウコクランL. formosana Rchb.f.〔L. bituberculata (Hook.) Lindl. var. formosana Rchb.f.〕はよく似ているが、全体が大形であるほか、包葉の形、唇弁の基部の突起の形などで区別できる。本州西部から台湾に分布する。

[井上 健 2019年5月21日]


コクラン(Constant-Benoit Coquelin)
こくらん
Constant-Benoit Coquelin
(1841―1909)

フランスの俳優。国立演劇学校に学ぶ。喜劇的才にたけ、1864年にコメディ・フランセーズの座員となる。のちにヨーロッパ、アメリカを巡演。97年にはポルト・サン・マルタン座の座頭(ざがしら)に就任した。鋭い眼光、上向きの鼻で特異な表情、甲高い音色を巧みに操る朗唱術、そのうえ役の解釈に優れた彼の演技に魅せられたエドモン・ロスタンは、彼のために『シラノ・ド・ベルジュラック』を書き下ろす。この公演は大成功をおさめ、俳優コクランの名を高からしめた。著書に『芸術と俳優』(1880)、『俳優から見た俳優たち』(1882)などがある。

[加藤新吉]

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普及版 字通 「コクラン」の読み・字形・画数・意味

卵】こくらん

ひながかえる。

字通「」の項目を見る

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「コクラン」の解説

コクラン Cochran, George

カックラン

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367日誕生日大事典 「コクラン」の解説

コクラン

生年月日:1775年12月14日
イギリスの海軍大将
1860年没

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世界大百科事典(旧版)内のコクランの言及

【スズムシソウ】より

…クモキリソウL.kumokiri F.Maek.(イラスト)やジガバチソウL.krameri Fr.et Sav.(イラスト)は球状の偽茎があり,落葉性,花は小さく,低山の林下にやや普通にみられる。コクランL.nervosa Lindl.やユウコクランL.formosana Reichb.f.は半常緑で,円柱状の偽茎をもち常緑広葉樹林下に生育する。【井上 健】。…

※「コクラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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