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エコール・パルナシアンl'école parnassienneの,上田敏による訳語で,〈詩華集《現代高踏詩集Le Parnasse contemporain》に結集した詩人たち〉の意。19世紀の半ば,フランス・ロマン派内にあって七月革命の挫折以後〈芸術のための芸術〉を唱道したゴーティエと二月革命の挫折を機に政治を断念して芸術に沈潜したルコント・ド・リールの下に多くの青年詩人が結集し,新詩人の糾合を標榜してこの詩華集が刊行された。詩華集は3回にわたって(1866,71,76)刊行され,回を重ねるごとに異分子が排除されて流派色が鮮明となる。すなわちロマン派の一面を継承しながらも,ロマン派詩人における社会教導の使命感やひたすらな心情吐露の面が拒否され,詩はもっぱら〈芸術〉としての客観的完ぺき性を目ざさねばならぬとして,心情を深く内に秘めるべく,形式面の彫琢や歌うに際しての実証に基づく冷静な描写の姿勢が重視された。この詩人の態度は社会大衆に対する拒絶である反面,安全無害な〈芸術〉の領域を自らに保全しようとする姿勢でもあった。おもな詩人としてはT.deバンビル,シュリ・プリュドム,F.コペ,C.マンデス,J.M.deエレディアなどがあげられる。1875年第3次詩華集の編集を契機に,のちの象徴派が高踏派から完全に分離する。
→象徴主義
執筆者:松室 三郎
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19世紀後半フランスの一詩派。ロマン派の主情的詩風に異を唱え、当時流行の実証主義の影響下に、没個性、不感無覚の精神に支えられた客観的、絵画的詩格の創造と音韻等詩形式上の技巧の錬磨を目ざした。ゴーチエを先駆者とし、ルコント・ド・リール、バンビルを師として、マンデス、プリュドム、コペー、エレディアらそれぞれ特異な個性の詩人たちがこの派に数えられる。彼らはマンデスの『幻想派評論』(1861)、リカールの『進歩評論』(1863~64)、『芸術』(1865~66)などに拠(よ)って文学活動を展開した。1866年ルメール書店から『現代高踏詩集』第1集が刊行され、ボードレール、マラルメ、ベルレーヌらが名を連ねるこの詩集により、詩派としてのまとまりを示すに至った。「パルナス」とは詩神(ミューズ)にゆかりの深いギリシアの山パルナッソスの仏語名である。『現代高踏詩集』は71年、76年にも続刊をみた。またこの派の詩人たちを集めたビヤール夫人のサロンも忘れがたい。
[遠山博雄]
『ピエール・マルチノ著、木内孝訳『高踏派と象徴主義』(1969・審美社)』
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…ゾラの周辺の〈自然主義〉の小説家として,ゴンクール兄弟,モーパッサン,ドーデがあげられる。 一方,詩の世界では,ルコント・ド・リールを中心とする〈高踏派〉が,造形的なイメージの客観性のもとに感情を暗示的に包み隠す〈不感無覚〉の詩法を標榜し,〈ロマン主義〉の主観性の克服を目ざした。かつては〈ロマン主義〉の同調者だったゴーチェなども,〈高踏派〉に共鳴したが,ボードレール《悪の華》の出現とともに,フランスの詩は〈象徴主義〉の方向へ向かい始める。…
※「高踏派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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