日本大百科全書(ニッポニカ) 「クワガタソウ」の意味・わかりやすい解説
クワガタソウ
くわがたそう / 鍬形草
[学] Veronica miqueliana Nakai
ゴマノハグサ科(APG分類:オオバコ科)の多年草。茎は株立ちして直立し、曲がった毛が生え、高さ10~20センチメートル。葉は対生し上部のほうが大きい。5~6月、上部の葉腋(ようえき)から数本のまばらな花序を出す。花冠は淡紅色で4裂し、径約1センチメートル。蒴果(さくか)は平たく下の広い扇形で、その下につく萼片(がくへん)が左右に張り出して兜(かぶと)の鍬(くわ)形に似る。本州、四国、九州の湿った林内に群生する。クワガタソウ属は北半球に約300種が分布し、4裂した皿状の花冠と2本の雄しべが特徴的で、イヌフグリなどもこれに含まれ、形態的に多様である。属名のベロニカは『旧約聖書』中の聖女の名である。
[久保多恵子 2021年8月20日]