クールジャパン戦略(読み)くーるじゃぱんせんりゃく

知恵蔵 「クールジャパン戦略」の解説

クールジャパン戦略

日本政府が「日本文化産業戦略」と称して推進する文化産業を中核にした国際戦略。企てとしては、これを通して日本人に「日本の魅力」を「再認識・再評価」させ、文化産業によって経済的利益や、ソフトパワーを通じた外交上の利益を得るというもの。それと同時に、普遍性を持ちうる「わが国の価値観」を世界に発信するという目線もあわせ持つとする。
文部科学省外務省など政府横断的施策が求められ、2010年6月に経済産業省製造産業局に「クール・ジャパン室」が置かれた。同室では、日本の戦略産業分野である文化産業について、海外進出を促進し、国内外への情報発信や人材育成を進める企画立案などを行っている。文化産業とは、クリエーティブ産業であるとし、デザイン、アニメ、ファッション、映画などが今後の日本の経済成長を支える戦略分野の一つとして期待されるとしている。
事業予算が配分されることには、事業者やクリエーターの側からは歓迎の声がある。しかし、ニッチともいえる趣味的な市場であるから、外国を相手に受け入れられるものが何かは分からないと戸惑いが強い。また、児童ポルノ禁止法などの表現自由を損なう傾向が強まって、更には環太平洋経済連携協定(TPP)参加による著作権保護期間伸長や法制度変更によって規制が強まれば、将来は自由奔放な表現ができなくなるのではないかなどの懸念も示されている。

(金谷俊秀 ライター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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