改訂新版 世界大百科事典 「グエンタイホク」の意味・わかりやすい解説
グエン・タイ・ホク
Nguyen Thai Hoc 阮大学
生没年:1902-30
ベトナム国民党の領袖で,イェンバイ蜂起の指導者。北部ベトナム,ビンイェン省に生まれ,ハノイの南同書舎(1925年ファム・トゥアン・タイら設立の孫文主義を中心とする私塾)に学んで,民族運動に覚醒する。当時のフランス領インドシナ総督バレンヌにベトナム人労働者の労働条件の改善,教育制度の拡充,広報雑誌発行を建議して入れられず,このため実力による独立路線を決意,1927年ベトナム国民党を設立し,自ら党首となる。国民党は北部の都市自営商人,教師,下級官吏,兵士の間で急速に発展したが,29年フランスの労働者斡旋業者バザンの暗殺事件によって,フランス政庁から大弾圧を受けた。逮捕を逃れたホクらは残存党員を指導して,30年2月9日ハノイ北西方のイェンバイ兵営はじめ数ヵ所で反乱を起こすが,大衆の参加を得られず壊滅し,ホクは捕らえられて12人(15人ともいう)の同志とともに,同年6月17日,ギロチンで処刑された。
執筆者:桜井 由躬雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報