ギロチン(読み)ぎろちん(英語表記)Guillotine フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギロチン」の意味・わかりやすい解説

ギロチン
ぎろちん
Guillotine フランス語

フランス革命以来、死刑に使用された断頭台。正しくはギヨチーヌと発音され、古くから南フランスやイタリアで用いられていたのを、憲法制定議会議員となった医者のギヨタンJoseph Ignace Guillotin(1738―1814)が、刑死者の苦痛を軽減するために、その採用を提案したことから、この名でよばれることとなった。彼が発明者であったとするのは誤りである。重く、かつ鋭利な刃が一瞬のうちに落下して死をもたらすので、事実、苦痛が軽いことに加えて、処刑に要する時間も短く、この後者の理由が、恐怖政治激化とともにその「能率性」を買われて、人数をこなすのに活用されて恐れられ、恐怖政治のシンボルとなった。1981年に廃止

[樋口謹一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギロチン」の意味・わかりやすい解説

ギロチン
guillotine

金属製の大刃をもつ斬首方式による死刑執行用具をいう。当初,ルイゼットとかルイゾンと呼ばれていたが,創案者とされたフランスの医師 J.ギヨタンの名前にちなんで現名のように呼ばれるようになった。フランス革命遂行期に王侯貴族など反市民的階層の人々に対して用いられ,その濫用から人民裁判のもつ恐怖の象徴として使用される用語となった。しかし,本来は,フランス革命を象徴する人道主義・平等主義的背景のもとで合理化されていた。 1792年以来ギロチンによる処刑が行われていたが,1981年9月フランス国民議会は死刑廃止法案を可決し,190年余に及ぶギロチンによる処刑は廃止された。

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