グネージチ(その他表記)Gnedich, Nikolai Ivanovich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グネージチ」の意味・わかりやすい解説

グネージチ
Gnedich, Nikolai Ivanovich

[生]1784.2.13. ポルタバ
[没]1833.2.15. ペテルブルグ
ロシア詩人翻訳家。中流貴族の家庭に生れ,ポルタバの神学校,モスクワ大学で教育を受けた。自由愛をうたった『寄宿舎』 Obshchezhitie (1804) ,反農奴制の詩『スペイン人に向うペルー人』 Peruanets k ispantsu (05) ,すぐれた田園詩『漁師たち』 Rybaki (22) など多くの詩を発表。しかしその名を後世にとどめたのはむしろ翻訳上の功績による。彼はシェークスピア,シラー,ボルテールの翻訳家であり,1829年に 20年以上も費やした『イリアス』の立派な翻訳が完成,文化史上の一大事件として迎えられた。六脚韻の格調高い名訳は今日でもその価値を失わず,多くの人に愛読されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グネージチ」の意味・わかりやすい解説

グネージチ
ぐねーじち
Николай Иванович Гнедич/Nikolay Ivanovich Gnedich
(1784―1833)

ロシアの詩人、翻訳家。中流貴族の出身。保守的な古典主義グループ「ロシア語愛好者談話会」の陣営にたち、文語改革に反対した。田園詩『漁師たち』(1823)のほか若干の繊細な詩を書いた。20年以上の歳月を費やした『イリアス』のロシア語訳(1829)は自作の詩以上に有名で、六歩格を用い壮麗な教会スラブ語法をちりばめた名訳。

[栗原成郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android