グリーンバック(読み)ぐりーんばっく(英語表記)Greenback

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリーンバック」の意味・わかりやすい解説

グリーンバック
ぐりーんばっく
Greenback

アメリカ合衆国で南北戦争(1861~65)中の1862年から発行された不換紙幣裏面緑色なのでこの名がある。この紙幣増発の運動を背景に同名の政党も生まれた。

 グリーンバックは、当初戦費をまかなうために大量に発行されたが、戦後、共和党政府はデフレ政策をとり、兌換(だかん)を開始することによってグリーンバックの引締めを図った。しかし、インフレの持続を願う債務者、とくに農民たちの強く反対するところとなり、彼らは紙幣の増発を要求して、いわゆるグリーンバック運動を起こした。1876年、運動の中核として第三党の「グリーンバック党」が結成されたが、翌年には労働条件の悪化に苦しむ労働者の支持が増え、「グリーンバック労働党」と改称、党勢力が最高潮に達した78年の選挙では、100万票を集め、14人の下院議員を連邦議会に送っている。

平野 孝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリーンバック」の意味・わかりやすい解説

グリーンバック
greenback

アメリカの法定紙幣の一種。緑背紙幣。その裏側の緑色のデザインから名づけられた。 1862年2月 25日の立法に基づき同年最初に発行,4億 5000万ドルの発行高が規定され,南北戦争時の政府の財政収入を助けた。最初は金貨1ドルと同価値を有し,64年7~8月には 39セントの価値に下落したが,76年まで 90セントの価値を保持した。 79年兌換紙幣とされ 34億 7000万ドルの発行高に達した。また,困窮した農民たちの一部は,これの増発によって農産物価格上昇借金軽減を望んでグリーンバック党に参加した。

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