改訂新版 世界大百科事典 「ケツ岩」の意味・わかりやすい解説
ケツ(頁)岩 (けつがん)
shale
薄くはげやすい性質をもった泥質岩で,泥板岩ともいう。1/16mm以下の砕屑物質を主とする岩石を泥岩と呼ぶが,泥岩のうちで,本のページを重ねたようにみえ,剝離性を有するものをケツ岩と呼ぶ。さらに剝離性が発達すると粘板岩(スレート)と呼ばれる。剝離性は岩石が風化するとよく現れる。用語は混乱しており,剝離性があっても泥岩と呼んだり,逆にそれがなくても強く固結したものはケツ岩と呼んだりする。ケツ岩の剝離性は,堆積する際の粒子の配列や固結が進む過程で粘土鉱物や雲母類が圧縮されて平行に並びかわることに原因している。剝離面は一般に層理面(葉理面)に平行である。粘板岩では斜交することがある。ケツ岩は含有物質によってケイ質ケツ岩,石灰質ケツ岩,凝灰質ケツ岩などと呼ばれる。また,アルミナの多いものをバン土ケツ岩alumina shale,石油成分を含むものをオイルシェール(油ケツ岩あるいは油母ケツ岩)という。一般に有機物に富むことから黒色を呈することが多く,風化すると暗灰色や赤褐色になる。堆積岩類の約半分を占める。
執筆者:徳岡 隆夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報