帽岩ともいわれる。石油根源岩のなかで生成された油が貯留岩へ移動した場合に,油が上方へ漏洩(ろうえい),逸散してしまわないように,油層を密閉する機能をもつ不浸透性の岩石をいう。砂質油層の場合は,その直上のケツ岩または泥岩がキャップロックになっている場合が多い。石灰岩質油層の場合のキャップロックの性状はさまざまで,多孔質石灰岩油層がその直上の硬質石灰岩,岩塩あるいはセッコウで密閉されていることもあるが,中東の巨大油田の場合は主として硬セッコウがキャップロックになっている。主力油層の一つはジュラ紀のアラブ層であるが,塊状硬セッコウによって分離された4枚の石灰岩油層から成り,硬セッコウ層がキャップロックになっている。このアラブ層油層は上から下へA,B,CおよびDメンバーと名づけられ,とくに重要なのはDメンバーである。多くの油田でこのDメンバーの厚さは25~40m,その直上のキャップロックの厚さは十数mである。
→油層
執筆者:加藤 正和 この言葉はまた,岩塩ドームの頂部を被覆するセッコウ,硬セッコウ,石灰岩,硫黄などの円板状岩体に対しても用いられ,さらに鉱床に関しては,鉱体の上方にある不透水性の岩石を指す言葉でもある。鉱液の上昇をさえぎるので,その下方に富鉱部を形成することがある。地熱地帯の形成も同様の岩石が地熱の上昇をさえぎるためである。また,泥質岩の上に溶岩が重なる地域に発生する地すべりをキャップロックタイプと呼んでいる。
執筆者:植村 武
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…大きな透水性をもつ地層が地表にまで達していれば,地表からの雨水の浸透によって,地熱系は冷却されてしまい,長年月にわたり温泉が湧出することはできない。有力な高温地帯ではしばしば難透水性の緻密な地層(キャップロック)によって,深部熱水系が覆われており,キャップロックは地表からの冷水の侵入を阻止し,地下の熱水が自由に地表に流出するのも制限している。キャップロックをもたなくても,緻密な岩盤中の割れ目系に熱水が形成される例がいくつもある。…
※「キャップロック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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