翻訳|bedding
成層または層状構造を示す岩石の配列状態を指す。成層の上下の面,つまり層理面というときは,堆積面を指す場合が多く,古環境の推定に重要なものである。しかし,堆積岩といってもある種の砂岩などの岩体は時間・空間的に斜交して存在することがあり,層理も砂岩の色・粒度などから,かろうじて識別される場合が少なくない。層理面は不連続な堆積作用によって生じるが,この場合,地層が整合状態であることは当然である。季節変化や局地的海水準変動,タービダイトなどにみられるように,供給の周期的繰返しにより堆積の中絶が生じたものと考えられている。
層状構造は,堆積中ばかりでなく,堆積後の地層の固結作用においても生じることがある。ケツ岩の平行層状割れ目がその例で,泥の微妙な粘度変化や粒子の配列状態の変化に従い,細かい割れ目をつくる。一般に粒度の細かい泥質岩は1枚の堆積層の厚さが薄く,しかも広範囲に分布する傾向があるから,このように細かい割れ目は堆積面であってもおかしくない。しかし,一部は泥の選別固結による層理面と考えられている。層理面は堆積時に水平であったとして,現在の地層の傾斜から地殻変動の大きさを求める基準として使うこともある。
層理面にみられる種々の流痕やその他の跡は自然の営力の化石として知られている。地層上面に付く例として,砂層の表面にみられる流水の跡の流紋(リップルマーク)とか,泥層の表面にみられる底生生物の這(は)い跡などがあげられる(生痕化石)。その他,雨が降った跡といわれるもの,干上がった堆積面が蓮の葉状に割れる干割れ(サンクラックsun crack)などが知られている。一方,下面にみられるものとして,流水が浸食した溝の埋め跡(フルートキャストflute cast)や,小石や生物の存在によりできる流水の浸食跡(トゥールマークtool mark)などがあげられる。これらの流痕やその他の跡は,堆積作用が一時中断していることを示している。
これに対して,堆積作用の中断のない状態で堆積した地層中の内部構造とみられる細かい層理面は,葉理またはラミナと呼んでいる。ラミナの例として,三角州地帯にみられるクロスラミナやタービダイト中にみられる級化層理などをあげることができる。その他,層理の特殊なものとして,堆積直後の層内変形によってつくられる乱堆積構造をあげることができる。また成層構造は火成岩にもみられ,結晶分化に由来する層理や,流紋岩などのように流理構造を示すものなどがある。
執筆者:加賀美 英雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
堆積(たいせき)物中にみられる岩石の層状の配列。堆積過程中に、粒子の構成物の変化や流速の変化などで、鉱物粒子や岩石片が層状に配列し、岩質の互いに異なる板状の単層が積み重なっていることをいう。このようにして生じた単層と単層の境界面を層理面とよぶ。単層の内部にみられる葉理は、色調や粒径の違い、粒子の組成の違いによって認識されるが、両者を厳密に区別できないことがある。層理と葉理は、岩質によって上下の地層と区別できる単層の厚さによって区別されることが多い。この場合、単層の厚さが1センチメートル以下のものを葉層とよび、1センチメートル以上の単層と区別する。この両者に対応する成層状態が、葉理(1センチメートル以下)と層理(1センチメートル以上)である。葉理面も通例、層理面とよばれる。
成層状態を単層あるいは葉層の厚さによって区分する場合は、(1)極厚層理(ごくこうそうり)(1メートル以上)、(2)厚層理(30センチメートル~1メートル)、(3)中層理(10~30センチメートル)、(4)薄層理(はくそうり)(1~10センチメートル)、(5)葉層理(0.3~1センチメートル)、(6)薄葉層理(0.3センチメートル以下)という分類が用いられる。
また層理ということばは、単に厚さで区別されるだけでなく、堆積時に単層がつくる構造や、単層の内部構造などを区別するときに用いられる。たとえば斜交層理や級化層理はある特定の成層状態を表した堆積構造を示している。
[村田明広]
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