オイルシェール(読み)おいるしぇーる(英語表記)oil shale

翻訳|oil shale

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オイルシェール」の意味・わかりやすい解説

オイルシェール
おいるしぇーる
oil shale

油母頁岩(ゆぼけつがん)のことで、油母(シェールオイル)とよばれる固体有機化合物(ケロジェン)を含む堆積(たいせき)岩である。乾留により得られる油が1トン当り約40リットル以上のものをオイルシェールとみなす。石油オイルサンドは特定地域に偏在しているが、オイルシェールは世界中に分散している。世界の埋蔵量は約3兆バレルと評価されており、アメリカ、オーストラリア、ロシア、中国などに大規模な鉱床がある。

 合成石油を製造するためには、粉砕加熱、石油状物質の抽出精製を行わなければならない。おもな採掘国はエストニアブラジル、中国である。1973年の第一次オイル・ショック以降、オイルシェールからの合成石油製造は、環境、技術、経済的問題が多いにもかかわらず脚光を浴びるようになってきた。しかし、オイルサンドと比べ経済性が悪いため、大規模な生産は行われていない。なお、オイルサンドはオイルシェールとともに非在来型石油と称されている。

[難波征太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オイルシェール」の意味・わかりやすい解説

オイルシェール
oil shale

瀝青質高分子化合物を含む頁岩一種で,油母頁岩ともいう。含まれている瀝青質の油は乾留によって抽出回収され,改質工程を経て合成原油となる。オイルシェールから原油を回収する方法としては,採掘後に地上設備で乾留する方法と,地下で直接乾留・抽出する方法とがあるが,前者はコストが高くつくので,近年は後者の方法の技術開発が行われている。世界の原始埋蔵量は約3兆バーレル (1バーレルは約 159l) といわれているが,その 70%はアメリカに産出する。アメリカでは一般原油に代る将来のエネルギー源として期待が集まっているが,原油価格が一段と上昇しないと事業化がむずかしいといわれている。石油危機のたびに開発熱が高まるが,本格的な事業化は困難な状況にある。

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