知恵蔵 「ケニア襲撃事件」の解説
ケニア襲撃事件
犯行同日、イスラム過激派アル・シャバーブが犯行声明を出している。アル・シャバーブはソマリアに拠点を置くアルカイダ系の過激派組織で、07年の設立以来、内戦が続くソマリア国内でテロ事件を繰り返してきた。近年、国内では弱体化しているが、厳格なイスラム法による国家建設を目指し、周辺国での勢力拡大を図っている模様。キリスト教徒の多いエチオピアやケニア、アフリカ連合に派兵するウガンダ、ブルンジなどを敵視し、10年7月にもウガンダの首都カンパラで自爆テロ事件を起こしている。また、ソマリア和平を仲介してきた国連や欧米の慈善団体・NGOにも敵意を向ける。
実際、アル・シャバーブのスポークスマンによると、襲撃の理由はケニアのソマリアへの軍事介入に対する報復で、高級ショッピングモールを狙ったのは、ユダヤ系・アメリカ系の店が多く、ケニアの中上流階級や観光客が集まるからだという。武装グループには白人や女性の姿も目撃され、ロンドン同時多発テロ(05年7月)の容疑者の妻で「白い未亡人」の異名を持つ英国人女性サマンサ・ルースウェイトの関与も取りざたされているが、身元が判明している実行犯は、ケニア人、スーダン人、ソマリア系の米国人・ノルウェー人などわずかで、全容は明らかになっていない(13年10月30日時点)。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報