金子光晴(みつはる)の詩集。1923年(大正12)7月、新潮社刊。1919年から20年にかけてベルギーに滞在、向日的で規則正しい生活をしたころの所産。自序に「余は、再びあひ難かつた、幼(おさな)時代の純真と、放胆と、虚栄(ブアニテ)に依(よ)つて、此(この)期間、専心自身の肖像(ポルトゥレー)を画(か)き続けた」というように、日本を離れることによって、内観した日本美の収集であり、自叙伝の試みであった。詩人の飯島耕一は「『こがね虫』の金子は、その虚(むな)しさをあげて、『夢』にふりむけた。『こがね虫』は圧倒的に夢みる精神の所産であり、夢みられた生命の礼拝堂における祈りの書である」(薔薇(ばら)と地獄のあいだ)という。耽美(たんび)的な側面を鮮やかに示す高踏詩集である。
[首藤基澄]
『『こがね虫』(1970・名著刊行会)』
2022年度から実施されている高校の現行学習指導要領で必修となった科目。実社会や実生活で必要となる国語力の育成を狙いとし、「話す・聞く」「書く」「読む」の3領域で思考力や表現力を育てる。教科書作りの...