飯島耕一(読み)イイジマコウイチ

デジタル大辞泉 「飯島耕一」の意味・読み・例文・類語

いいじま‐こういち〔いひじまカウイチ〕【飯島耕一】

[1930~2013]詩人評論家岡山の生まれ。昭和31年(1956)年、大岡信らとシュルレアリスム研究会を結成。のち、詩作のほか評論小説など幅広く執筆活動を行った。詩集ゴヤファーストネームは」「夜を夢想する小太陽の独言」、評論「日本のシュールレアリスム」、小説「暗殺百美人」など。芸術院会員。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「飯島耕一」の意味・わかりやすい解説

飯島耕一
いいじまこういち
(1930―2013)

詩人。岡山市生まれ。東京大学仏文科卒業。1956年(昭和31)国学院大学講師、1969年同大学教授、1973~2000年(平成12)明治大学教授。第二次世界大戦後の虚脱状況を若々しい感性で受け止めた第一詩集『他人の空』(1953)で注目され、フランスの超現実主義に影響されつつ『鰐(わに)』『櫂(かい)』などの同人誌活動のかたわら、詩集『わが母音』(1955)、『何処へ』(1963)、『ゴヤのファースト・ネームは』(1974。高見順賞受賞)、『バルセロナ』(1976)、『宮古』(1979)と旺盛(おうせい)な詩作活動を続ける。その後の詩集に、『夜を夢想する小太陽の独言』(1982。現代詩人賞受賞)、『四旬節なきカルナヴァル』(1987)、『虹の喜劇コメディ)』(1988)、『さえずりきこう 飯島耕一定型詩集』(1994)、『猫と桃』(1997)など、そして2000年(平成12)以降もあらゆる詩型とあらゆる詩想で「詩ってどういうの?」との問いにこたえる『浦伝い 詩型を旅する』(2001)などを発表している。

 詩画集や評伝、長編小説、映画評論、翻訳と多彩な活躍ぶりだが、評論・エッセイ集では、『日本のシュールレアリスム』(1963)、『萩原朔太郎』(1975)、『北原白秋ノート』(1978。『飯島耕一詩集1・2』とともに歴程賞受賞)、『定型論争』(1991)、『シュルレアリスムという伝説』(1992)、『バルザックを読む漱石』(1996)、『日本のベル・エポック』(1997)、『「虚栗(みなしぐり)」の時代 芭蕉(ばしょう)と其角(きかく)と西鶴(さいかく)と』(1998)、そして加藤郁乎(いくや)(1929―2012)との共著『江戸俳諧にしひがし』(2002)などがある。短編小説集もあるが、1990年代後半以降、長編三部作『暗殺百美人』(1996)、『六波羅カプリチョス』(1999)、『小説平賀源内』(2002)を著した。『暗殺百美人』は、第6回ドゥマゴ文学賞を受賞、選考委員の中村真一郎(選考委員は1人で任期は1年)は「〈前衛小説〉の楽しい成功」と評価した。2000年から2001年にかけて著作集成『飯島耕一・詩と散文』(全5巻)が刊行された。

[原 子朗]

『『日本のシュールレアリスム』(1963・思潮社)』『『何処へ』(1963・思潮社)』『飯島耕一著『アポリネール』(1966・美術出版社)』『『他人の空』(1971・山梨シルクセンター出版部)』『『ゴヤのファースト・ネームは 詩集』(1974・青土社)』『『萩原朔太郎』(1975・角川書店)』『『バルセロナ 飯島耕一詩集』(1976・思潮社)』『飯島耕一著『next 詩集』(1977・河出書房新社)』『『飯島耕一詩集』1・2(1978・小沢書店)』『『宮古 飯島耕一詩集』(1979・青土社)』『飯島耕一著『シュールレアリスムよ、さらば』(1980・小沢書店)』『『夜を夢想する小太陽の独言』(1982・思潮社)』『『北原白秋ノート』(1985・小沢書店)』『『四旬節なきカルナヴァル』(1987・書肆山田)』『『虹の喜劇(コメディ)』(1988・思潮社)』『『定型論争』(1991・風媒社)』『『シュルレアリスムという伝説』(1992・みすず書房)』『『さえずりきこう 飯島耕一定型詩集』(1994・角川書店)』『『暗殺百美人』(1996・学習研究社)』『『バルザックを読む漱石』(1996・青土社)』『『日本のベル・エポック』(1997・立風社)』『『猫と桃 飯島耕一詩集』(1997・不識書院)』『『「虚栗」の時代 芭蕉と其角と西鶴と』(1998・みすず書房)』『『六波羅カプリチョス』(1999・書肆山田)』『『飯島耕一・詩と散文』全5巻(2000~2001・みすず書房)』『『浦伝い 詩型を旅する』(2001・思潮社)』『『小説平賀源内』(2002・砂子屋書房)』『『江戸俳諧にしひがし』(2002・みすず書房)』『鶴岡喜久著『夢の通路――シュルレアリスム論』(1986・沖積舎)』『立松和平著『海の声、山の耳 立松和平対談集』(1988・展転社)』『嶋岡晨著『ポエジーの挑戦――昭和詩論史ノート』(1996・白地社)』『野村喜和夫・城戸朱理著『討議戦後詩――詩のルネッサンスへ』(1997・思潮社)』『安東次男著『連句の読み方――戦後詩論選』(2000・思潮社)』『加藤郁乎著『後方見聞録』(学研M文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飯島耕一」の意味・わかりやすい解説

飯島耕一
いいじまこういち

[生]1930.2.25. 岡山
[没]2013.10.14. 東京
詩人。1952年東京大学文学部仏文科を卒業。1953年に戦後詩の象徴的な作品といわれる詩集『他人の空』を発表。1956年にはシュルレアリスム研究会(→シュルレアリスム)を立ち上げ,詩誌『鰐』を創刊。代表作に,『ゴヤのファースト・ネームは』(1974,高見順賞),『上野をさまよって奥羽を透視する』(1980),『夜を夢想する小太陽の独言』(1982,現代詩人賞),『アメリカ』(2004,読売文学賞,詩歌文学館賞),小説『暗殺百美人』(1996,ドゥマゴ文学賞)。評論,翻訳多数。特に西脇順三郎を論じた『田園に異神あり』や『北原白秋ノート』『萩原朔太郎』などの評論は率直な詩への洞察と文芸批評の名著。ほかに,藤村記念歴程賞などを受賞。国学院大学教授を経て明治大学教授を務めた。2008年日本芸術院会員。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「飯島耕一」の解説

飯島耕一 いいじま-こういち

1930-2013 昭和後期-平成時代の詩人。
昭和5年2月25日生まれ。東大在学中栗田勇らと詩誌「カイエ」を創刊。昭和28年詩集「他人の空」を発表,戦後世代の叙情性が注目される。シュールレアリスムの影響をうけて詩作をつづけ,49年「ゴヤのファースト・ネームは」で高見順賞,58年「夜を夢想する小太陽の独言」で現代詩人賞。評論に「日本のシュールレアリスム」,小説に「暗殺百美人」(Bunkamura ドゥ マゴ文学賞)など。国学院大教授をへて,48年明大教授。平成17年「アメリカ」で読売文学賞,詩歌文学館賞。20年芸術院会員。平成25年10月14日死去。83歳。岡山県出身。

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367日誕生日大事典 「飯島耕一」の解説

飯島 耕一 (いいじま こういち)

生年月日:1930年2月25日
昭和時代;平成時代の詩人

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