日本大百科全書(ニッポニカ) 「コシオリエビ」の意味・わかりやすい解説
コシオリエビ
こしおりえび / 腰折蝦
squat lobster
節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目コシオリエビ科Galatheidaeのエビ類の総称。日本産は60種。分類学的には長尾類(エビ類)と短尾類(カニ類)の中間に位置し、異尾類(ヤドカリ類)に含まれるが、腹部を強く折り曲げているのでこの名があり、外形的にはエビ類に似る。基本となる属名Galatheaをそのままガラテアとよぶこともある。頭胸甲は背腹に扁平(へんぺい)で、横筋(よこすじ)や小さな棘(とげ)があることが多い。額角(がっかく)は一般に三角形あるいは棘状。長大なはさみ脚(あし)に続いて3対の歩脚(ほきゃく)、さらに鰓室(さいしつ)清掃用の小さな1対の脚がある。甲長5ミリメートルから大きいものでもせいぜい5センチメートルほどである。もっとも普通にみられるのは小形で色彩変異の著しいトウヨウコシオリエビG. orientalisである。日本近海の水深100~450メートルにすむオオコシオリエビCervimunida princepsはほとんど食用にされていないが、チリ沖のケルビムダ・ジョニC. johniは多量に漁獲されている。コシオリエビ類は後ずさりして逃げる習性がある。
[武田正倫]