改訂新版 世界大百科事典 「コジャノメ」の意味・わかりやすい解説
コジャノメ
Mycalesis francisca
翅の表面によく目だつ眼状紋をもった鱗翅目ジャノメチョウ科の昆虫。ヒマラヤから中国,台湾,朝鮮半島を経て日本に分布する。日本では本州から九州にかけて見られる。同属のヒメジャノメよりも陰地性で樹林の内部で生活する。一般に年2回発生し,春型は5~6月ころ,夏型は7~8月ころ羽化する。開張4.5~5.5cm。成虫は翅を閉じたままの姿勢を保ち,一定のリズムで跳躍するように地上近くを低く飛び,樹林の下生えや落葉の上にとまる。花を訪れることはほとんどなく,樹液や腐敗した果実などによく集まる。雌はススキ,アブラススキ,チヂミザサなどのイネ科植物の葉裏に1個ずつ,または2~3個の卵を並べて産みつける。幼虫は,初めは緑色であるが,やがて後部に褐色の背線が現れ,終齢になると暗褐色となって昼間は食草の根もとに潜み,夜間は食草にはい上がってその葉を食べる。終齢幼虫で越冬し,翌春食物をとらずに草本の葉裏などでさなぎとなる。
執筆者:高橋 真弓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報