コメガヤ(その他表記)mountain melic
pearlgrass
Melica nutans L.

改訂新版 世界大百科事典 「コメガヤ」の意味・わかりやすい解説

コメガヤ
mountain melic
pearlgrass
Melica nutans L.

山地の林の下にやや普通な,風情のあるイネ科多年草。米茅(こめがや)や異名の雀の米(すずめのこめ)の名は,白くて目をひく丸っこい小穂を米に見立てたものである。ややゆるい株を作り,細い走出枝を出す。葉は線形で,長さ20cmに達し,表面は濃い緑色である。茎は細く,短くはった基部から立ち上がり,初夏にその上部に長さ10cm内外の円錐花序を出す。花序は円錐であるが,枝が非常に短く,糸状の柄のついた小穂が片側傾き垂れるので,片側の総状に見え,美しい。小穂は5~13個で,長さは6~8mm,白色淡紫色を帯びるか白っぽい緑色(アオコメガヤという)をしている。楕円形の苞穎(ほうえい)に包まれて,2個の正常の小花と1個の棒状の退化小花がある。ユーラシア大陸の温帯に広く分布し,日本では北海道から九州までの温帯林の中に見られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コメガヤ」の意味・わかりやすい解説

コメガヤ
こめがや / 米茅
[学] Melica nutans L.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。稈(かん)は細く直立し、高さ40~80センチメートル。8~9月、稈の先に総状花序をつけ、細い柄の先に小穂が下垂し、一方に偏ってつく。小穂は楕円(だえん)形で、数個の小花をつけ、上方の退化した小花は中性棍棒(こんぼう)状。包穎(ほうえい)は護穎より短く、護穎の背面は円い。北海道から九州にかけての山地林内に生え、ユーラシア大陸の温帯にも広く分布する。名は、退化した小花が白緑色で米粒にみえることによる。

[許 建 昌 2019年8月20日]


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