改訂新版 世界大百科事典 「コメガヤ」の意味・わかりやすい解説
コメガヤ
mountain melic
pearlgrass
Melica nutans L.
山地の林の下にやや普通な,風情のあるイネ科の多年草。米茅(こめがや)や異名の雀の米(すずめのこめ)の名は,白くて目をひく丸っこい小穂を米に見立てたものである。ややゆるい株を作り,細い走出枝を出す。葉は線形で,長さ20cmに達し,表面は濃い緑色である。茎は細く,短くはった基部から立ち上がり,初夏にその上部に長さ10cm内外の円錐花序を出す。花序は円錐であるが,枝が非常に短く,糸状の柄のついた小穂が片側に傾き垂れるので,片側の総状に見え,美しい。小穂は5~13個で,長さは6~8mm,白色で淡紫色を帯びるか白っぽい緑色(アオコメガヤという)をしている。楕円形の苞穎(ほうえい)に包まれて,2個の正常の小花と1個の棒状の退化小花がある。ユーラシア大陸の温帯に広く分布し,日本では北海道から九州までの温帯林の中に見られる。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報