1984年に登録、1994年に登録内容が変更された世界遺産(文化遺産)。コルドバは、スペイン南部のコルドバ県の県都で、アンダルシア地方の中心都市セビリア東北東122kmに位置する。ここは、かつて古代ローマ帝国時代に誕生し、グワダルキビル川に架かるローマ橋などが残っている。また、その後、ウマイヤ朝の再興王朝である後ウマイヤ朝(756~1031年)がイベリア半島に興り、コルドバにこの王朝の都が置かれた。この王朝により785年に着工されたメスキータ(モスク)は当時最大規模で、現在でも世界で3番目に大きい。その後レコンキスタ(718年から1492年までに行われたキリスト教徒によるイベリア半島の国土回復運動)によりキリスト勢力が失地を回復すると、コルドバのメスキータの一部は破壊され、キリスト教会に改築されて存続した。その建物のミフラーブなどのイスラム装飾はそのまま残され、イスラム教とキリスト教(カトリック)が融合した独特の建造物となった。また、イスラム式のみごとな庭園を持つ14世紀のムデハル様式(イスラムと西欧建築の融合様式)のアルカサルも残されている。また、この町には14世紀のシナゴーグや伝統的なユダヤ人町の建造物もあり、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の3つの宗教・文化が入り混じる独特の景観を今に残している。世界遺産には、メスキータやローマ橋などの建造物とユダヤ人町が登録されている。◇英名はHistoric Centre of Cordoba