アルカサル(その他表記)Alcázar

デジタル大辞泉 「アルカサル」の意味・読み・例文・類語

アルカサル(Alcázar)

スペイン語で王宮・王城の意。元は宮殿城砦じょうさい要塞を意味するアラビア語に由来》
Alcázar de Sevilla》スペイン南西部、アンダルシア州の都市セビリアにある宮殿。14世紀にカスティーリャ王ペドロ1世がイスラム教徒支配時代の要塞兼居城を改築。ムデハル様式を主として、ゴシックルネサンス様式が混在する。1987年、「セビリアの大聖堂、アルカサルとインディアス古文書館」の名称世界遺産文化遺産)に登録された。
Alcázar de Córdoba》スペイン南部、アンダルシア州の都市コルドバにある城。14世紀、カスティーリャ王アルフォンソ11世がイスラム支配時代の要塞跡に建造。カトリック両王の時代は異端尋問を行う宗教裁判所として使われた。旧市街に残るメスキータカラオーラの塔とともに、1984年「コルドバ歴史地区」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録された。
Alcázar de Toledo》スペイン中央部、カスティーリャ‐ラ‐マンチャ州の都市トレドにある城。11世紀にカスティーリャ‐レオン王アルフォンソ6世が同地をイスラム教徒から奪還し、古代ローマ時代の宮殿があった場所に要塞として建造。現在は軍事博物館になっている。1986年、「古都トレド」の名称で旧市街全域が世界遺産(文化遺産)に登録された。
Alcázar de Segovia》スペイン、カスティーリャ‐レオン州の都市セゴビアにある城。11世紀にカスティーリャ‐レオン王アルフォンソ6世により建造。19世紀の火災で被害を受け、20世紀になり現在見られる姿に修復された。ディズニー映画「白雪姫」の城のモデルになったことで知られる。古代ローマ時代の水道橋セゴビア大聖堂などの歴史的建造物とともに、1985年「セゴビア旧市街とローマ水道橋」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルカサル」の意味・わかりやすい解説

アルカサル
alcázar

一般的にスペイン中世の城をさし,特にセビリアのアルカサルをいう。セビリアのアルカサルはアルモハド時代のイスラム建築で 1350~69年に建造され,19世紀に改築,今日に残る。アルハンブラ宮から呼ばれた工匠によりムデハール様式で建築されたが,ボールト壁面上部のスタッコ装飾,あるいは彩釉タイルの装飾はアルハンブラ宮殿の様式に近い。 1987年セビリア大聖堂,インディアス古文書館とともに,世界遺産の文化遺産に登録。

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世界大百科事典(旧版)内のアルカサルの言及

【アンダルス】より

…その代表的建築物としては,コルドバのメスキータ,後ウマイヤ朝時代の宮廷都市ザフラーal‐Zahrā’,セビリャのヒラルダの塔がある。また,ムデーハル文化を代表する建造物としてはセビリャのアルカサルalcázar(アラビア語ではal‐qaṣr)がある。アラビア語書体の一つとしてのマグリビー体もアンダルス,北アフリカで用いられた独特の書体である。…

【コルドバ】より

ムデーハル建築の代表的な例としては,カサ・デ・ラス・カンパナス(14世紀),カサ・デ・ロス・カバレロス・デ・サンチアゴ(14~15世紀)がある。また,城砦兼宮殿アルカサルは,14世紀の建造。スペインに残る二つのシナゴーグのうちの一つ(14世紀)が,かつてのユダヤ人居住区に残っている。…

※「アルカサル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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