推理小説のジャンルの一つ。知的でユーモラスな主人公が、日常的な生活で遭遇した事件の謎(なぞ)を解くストーリーを軽妙なタッチで描く探偵小説で、主人公の多くは刑事やプロの探偵ではない一般人である。非情で暴力的な主人公が登場するハードボイルド小説と対照をなす推理小説と位置づけられる。コージーcozyは英語で「くつろいだ」や「心地よい」などを意味する。イギリスで秀逸な探偵小説が数多く書かれた20世紀なかばに誕生した。代表作といわれるアガサ・クリスティのミス・マープルシリーズは、1926年に発表された短編小説から始まった。これは初老の未婚女性マープルが、居住している古風な村で、素人(しろうと)探偵として活躍する姿を描いたシリーズである。コージーミステリーには、アメリカのユニバーサルテレビが1984~1996年に製作した、『ジェシカおばさんの事件簿Murder, she wrote』など、テレビドラマ用として書き下ろされた作品もある。
日本では2010年(平成22)ごろから、『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(三上延(みかみえん)(1971― )著、アスキーメディアワークス)や『珈琲(コーヒー)店タレーランの事件簿』シリーズ(岡崎琢磨(おかざきたくま)(1986― )著、宝島社)など、「いつもの場所」を舞台に、専門知識に富んだ若い主人公が謎を解く推理小説が、読者の人気を集めている。
[編集部]
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