ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴンゴラ・イ・アルゴテ」の意味・わかりやすい解説
ゴンゴラ・イ・アルゴテ
Góngora y Argote, Luis de
[没]1627.5.23. コルドバ
スペインの詩人。「文飾主義」で知られる。コルドバの名門の家に生れ,聖職についたが,宗教心は薄く,詩作と放蕩にふけった。 1617年,マドリードでフェリペ3世の王室付き司祭となったが,宮廷生活になじめず,詩作もはかどらず,26年コルドバへ戻り,借金返済のため自作詩集の出版を思いついたが,精神病の発作に見舞われ,翌年死亡。詩作は2種に分れ,『詞華集』 Canciones (1605) にみられるように,形式,主題ともに庶民的で比較的平明なものと,叙事詩と田園詩の混合ともいうべき長詩『ポリフェモとガラテアの寓話』 Fábula de Polifemo y Galatea (12) や田園詩集『孤愁』 Soledades (13~17) のように独創的な様式のものである。後者はラテン語風の語彙と構文,極端に複雑な比喩,神話からの引用により「文飾主義」と呼ばれた。これは詩の音楽性や色彩の表現にはすぐれるが,外面にとらわれすぎて内面性に乏しく,ケベド・イ・ビリエガスらの反論を招いた。長らく理解されなかったが,20世紀に入ってからバロック詩の典型として再評価の機運が高まり,広範な研究が進んだ。なかでも D.アロンソの『ゴンゴラ研究』 (1955) は有名。
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