日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイザルヘンプ」の意味・わかりやすい解説
サイザルヘンプ
さいざるへんぷ
sisalhemp
[学] Agave sisalana Perrine
リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の多年草。サイザルアサまたは単にサイザル、シサルともいう。中央アメリカ原産で、葉から繊維をとるために、熱帯や亜熱帯で栽培される。サイザルの名はユカタン半島の港の名に由来する。木質の短い茎に多肉質の葉が多数密につく。葉柄はなく、葉身は剣状で先がとがり、長さ1~2メートル、中央部の幅は10~15センチメートルでやや青みを帯びた緑色。比較的乾燥した気候でよく育つ。5~12年たつと、6メートルほどのリュウゼツランに似た花茎を伸ばし、多数の花をつける。花が落ちると珠芽ができ、これによって殖える。開花後、母植物は枯死する。生育期間中に200~300枚の葉をつけるが、これからとれる繊維は柔軟で光沢があり、ロープや敷物、袋などに加工される。同属のヘネケンhenequen/A. fourcroydes Lemaireからとる繊維もサイザルアサとして扱われることがあるが、品質はやや劣る。
[星川清親 2019年5月21日]