ササラダニ(読み)ささらだに(英語表記)moss mites

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ササラダニ」の意味・わかりやすい解説

ササラダニ
ささらだに / 簓蜱
moss mites
oribatid mites

節足動物門クモ綱ダニ目ササラダニ亜目(隠気門亜目)に属するダニの総称。自由生活性ダニ類の代表的なもので、土壌ダニ類のなかの一群として種数や個体数がもっとも多い。前胴体部の両側に1本ずつある感覚毛の形が簓(ささら)(竹の先を細かく裂いて食器などを洗うのに用いた道具)に似ているものが多いことから、ササラダニと名づけられた。体長0.2~1.5ミリメートル。原始的な種類は体が柔らかいが、多くは、あたかも甲虫のように堅い体皮に覆われ、褐色ないし黒色で、形態はきわめて変化に富む。もっとも好むすみかは森林の土壌で、落ち葉の下、コケの中、朽ち木などからみいだされる。

 生態系のなかでは落ち葉や落枝など植物遺体の分解者として重要な働きをしており、人畜にはまったく無害である。イレコダニ科、フリソデダニ科、ツブダニ科、オニダニ科など日本に100以上の科があり、600種以上が記録されている。採集にはツルグレン装置が用いられる。

青木淳一

『江原昭三編著『ダニのはなし――生態から防除まで(1)』(1990・技報堂出版)』『青木淳一著『日本列島ダニさがし――きみのそばにダニがいる』(1996・ポプラ社)』『青木淳一著『都市化とダニ――コンクリート建造物のコケに生息するササラダニ類』(2000・東海大学出版会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ササラダニ」の意味・わかりやすい解説

ササラダニ (簓蜱)
oribatid mites

蛛形(ちゆけい)綱ダニ目ササラダニ亜目Oribatei(=Oribatida,Cryptostigmata)に属する自活性の節足動物の総称。体長0.3~1.5mm,褐色~黒色で甲虫のように堅い表皮に覆われるものが多い。おもに土,落葉,コケの中にすみ,植物質の腐りかけたものを食べ,生態系の中で分解者の重要な役割を果たす。自然がよく保たれた森林土壌では1m2当り数万匹も生息し,日本に数百種もいる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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