分解者(読み)ぶんかいしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ)「分解者」の解説

分解者
ぶんかいしゃ

生態系内でのエネルギーの流れと物質循環において、死んだ生物体や排出物を分解し、その際に生じるエネルギーを利用して生活し、有機化合物を生産者が利用できる簡単な無機化合物に戻す役割を果たす生物をいう。有機栄養生物(従属栄養生物ともいう)のうち細菌類と菌類がこれにあたる。1918年にドイツの陸水生物学者ティーネマンが初めて使用した。同義語に還元者reducerがあるが、分解者decomposerのほうがよく使われている。類語に消費者、対語に生産者がある。

 分解者は土壌中あるいは沈積物中など生態系内の生産者とは違った場所に多く存在し、また時間的にも分解は生産より遅れる。分解者の構成は多様で、物質循環を速めるうえでの役割は大きく、生産に見合った速度で分解が行われないと、有機汚濁の原因となる。有機栄養生物のうち、動物を消費者といい、細菌類と菌類を分解者というのが普通であるが、両者の区分は便宜的であいまいである。前者は「生きたままの生物体」を利用することが多く、後者は「死んだ生物体」を利用することが多いという違いはあるが、この違いは厳密なものではなく、「有機化合物を分解し、生産者が利用できる簡単な無機化合物に戻し、その際に生じるエネルギーを利用して生活する」という役割は共通しているので、両者をまとめて消費者とよぼうという主張もある。この場合、前者を大形消費者macroconsumer、後者を微小消費者microconsumerとよぶ。また、その機能から、消費者あるいは分解者という名称は不適当で、第二次生産者あるいは第三次生産者とよぼうという意見もある。

[牧 岩男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「分解者」の解説

分解者
ぶんかいしゃ
decomposer

生態学用語。生態系のなかで,他生物の死骸や排出物を分解し,栄養源として生活する生物。有機物を生産者が使う簡単な無機物に分解する役割を果たすため,還元者とも呼ばれる。通常は,いわゆる腐生生活をする細菌類菌類をさすが,腐肉にたかるや,落ち葉などを消化するカブトムシ幼虫,ミミズなどの小動物も同様に考えることができるので,範囲は曖昧である。突きつめて考えれば,他養性(→従属栄養)の栄養形式をもつ生物はすべて死んだ生物体を分解して生きていることになるので,分解者と消費者の内容はほとんど違いがない。(→生産生態学栄養段階腐生植物

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世界大百科事典内の分解者の言及

【エネルギーの流れ】より

…われわれ人間を含めて光合成能をもたない非光合成生物は,植物体に蓄積された化学エネルギーを食物連鎖の過程を通じて順次,変換・消費して生活する。これらは消費者(1次,2次,……,n次)および分解者と位置づけられる。成長,増殖,運動などの仕事に使われたエネルギーの一部は生物体として蓄積されるが,最終的には熱エネルギーの形で再び宇宙に放散される。…

【生態系】より


[生態系の構造]
 生態系は生物的要素と非生物的要素によって構成される。生物的要素は生産者,消費者および分解者の三つに大別される。この命名はドイツの陸水学者ティーネマンA.Thienemannによるもので,生物群集を種という概念にとらわれず,主要な機能的側面を重視して位置づけている。…

【生物生産】より


[二次生産]
 一次生産者の合成した有機物を直接または間接に摂取し,これを消費して自己のからだを作り上げることで,主として動物の生産に用いられる。分解者と呼ばれる従属栄養微生物の生活も同じ機能である。二次生産は通常,摂食から出発する。…

【腐生植物】より

冬虫夏草のうちには宿主が生きている間に寄生していて,死んでからも腐生的に寄り付いている例もある。細菌類のうちに生物の死体に寄り付いて有機物を分解するものがあるが,これも腐生の一種であり,動物と並んで自然界の物質循環のうちで分解者として重要なはたらきをしている。【岩槻 邦男】。…

※「分解者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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