日本大百科全書(ニッポニカ) 「サザナミヤッコ」の意味・わかりやすい解説
サザナミヤッコ
さざなみやっこ / 小波奴
zebra angelfish
[学] Pomacanthus semicirculatus
硬骨魚綱スズキ目キンチャクダイ科に属する海水魚。千葉県以南の西太平洋からインド洋海域に分布し、岩礁やサンゴ礁にすむ。体は高くて側扁(そくへん)する。鰓蓋(さいがい)の下方に鋭い棘(とげ)がある。体側の鱗(うろこ)は後縁が刷毛(はけ)状で粗雑な感触があるなどの特徴がある。成魚ではひれの後端が糸状に伸びる。幼魚は岩などの間隙(かんげき)をすみ場とし、成長につれて深みに移動して行動圏は大きくなるが縄張り(テリトリー)を堅持する。幼魚は黒色の地に3本の青白色線があり、成長につれて線が増え、その後はしだいに点模様の成魚の斑紋(はんもん)に変化する。本州中部地方の沿岸に夏季に幼魚が出現し、岩礁域で成長するが繁殖はしない。飼いやすく、また美しいので、観賞魚とされる。
[井田 齋]