翻訳|saloon
大邸宅の応接室を意味するフランス語salon(サロン)の変形語で,酒場,娯楽用の部屋などを意味する英語。酒類販売を許可された酒場としてのアメリカのサルーンは,1870年ごろから20世紀初めまでが隆盛期で,街の四つ角には必ず見られ,都会には200人に1軒の割合であるといわれた。ニューヨークのウォルドーフWaldorfのようにエレガントで大きな店もあったが,多くの店は窓を厚いカーテンで覆い,中は薄暗く,自在戸swinging doorを押して入ると,床にはおがくずが敷きつめてあった。長いカウンターの向こうの壁には,裸のビーナスの絵などが描かれていた。悪魔のラム酒demon rumが供される所として名高いが,一般的な飲物はバーボンやビールで,初期には客寄せのため無料の昼食も出された。客は金属製の足乗せfootrailに足を掛け,立飲みする。酒場の女とダンスに興じることもあったが,一般の婦人はけっして足を踏み入れず,店の前を通るときには,顔をそむけ,足早に通り過ぎた。1893年に禁酒連盟Anti-Saloon leagueが結成され,1919年には憲法第18修正(禁酒法)が議決されて酒類の輸送販売が禁止され,サルーンの隆盛期は終わった。
執筆者:荒 このみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…〈パブの文化〉に代わって,中産階級つまりブルジョアジーが労働者に強制しようとしたのは〈合理的娯楽〉とでもいうべき,アルコールや賭けを避けた〈健全な娯楽〉であったが,後者は容易に労働者には受け入れられず,余暇の過ごし方が19世紀における階級闘争の重要な一局面をなすに至った。 もともと普通の家庭の一間を大きくしただけの構造であったパブが大型化し,ガラスなどを多用した豪華な内・外装をほどこし,〈ジン御殿gin palace〉などと呼ばれるほどの独立の建物になったのは1830年代で,このころから内部が仕切られ,パブとサルーン(いくらか上客向きの席で,同じ酒類がやや高く売られる)に区分されるようになった。しかし,ロンドンなどの大都会では,今ではこの区別のないパブが多くなっている。…
※「サルーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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