日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンテリア」の意味・わかりやすい解説
サンテリア
さんてりあ
Antonio Sant'Elia
(1888―1916)
イタリアの建築家。コモで技術教育を受けたのち、ミラノのブレラ美術学校で学び、ボローニャで建築の学位をとる。ミラノに戻って建築事務所を開き、24歳のときに未来主義運動に参加し、1914年7月11日「未来主義建築宣言」を発表する。15年第一次世界大戦に参加し、翌年モンファルコーネで戦死した。サンテリアの建築の理念は、当時の建築界を支配していたアカデミズムに反発し、建築細部の様式的な処理を否定し、最新の技術を駆使して近代的な都市空間に適合する構造と空間を獲得することにあった。したがって現実の作品はほとんど残すことなく、『新しい都市のデザイン』(1914)ほかの多くのプロジェクトによって創造的理念を提示した。そこにおいては重層するハイウェーや交通の分散統合など、建築と都市との関係に対して、第二次大戦後に世界的に実現することになる未来都市の姿を予見している。
[小川 煕]