サンフィッシュ(読み)さんふぃっしゅ(その他表記)sunfishes

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンフィッシュ」の意味・わかりやすい解説

サンフィッシュ
さんふぃっしゅ
sunfishes

硬骨魚綱スズキ目サンフィッシュ科Centrarchidaeの淡水魚の総称。北アメリカ大陸の東部から中部にかけて分布し、8属31種が知られている。小形種では全長5センチメートルから、大形種では80センチメートルあまりに達するものがいる。形態は一見、日本の河川にすむオヤニラミに似ている。体は卵形または長楕円(ちょうだえん)形で側扁(そくへん)する。鰓蓋(さいがい)の後方が丸く伸びているものがいる。小魚を貪食(どんしょく)し、産卵期には雄が尾びれ水底の砂を掘って小さいくぼみをつくる。雌はここに産卵し、雄が卵を保護する習性がある。また、サケ類のように太陽コンパスによって方向を定める行動が確かめられている。

 本科魚類は重要なスポーツフィッシングの対象魚として、原産地を越えて多くの地域に移入されている。日本には、ブラックバス類のオオクチバス(俗称、ブラックバス)とコクチバスM. dolomieu dolomieuそしてブルーギルの3亜種が生息している。2002年(平成14)に出版された日本魚類学会編集の『川と湖沼の侵略者ブラックバス』によると、オオクチバスが1925年(大正14)、コクチバスが1991年(平成3)、ブルーギルが1960年(昭和35)に初めて日本に移植されており、その後もブラックバス類は何回も移入されている。現在、日本各地の湖沼や河川に繁殖しており、食用または釣りの対象魚として人気がある。その反面、どの種も貪欲な肉食魚で、繁殖力が強く日本各地で増え続け、在来種生存に大きな影響を与えている。そのために放流を禁じたり、駆除したりしている。

片山正夫・尼岡邦夫 2021年2月17日]

『日本魚類学会自然保護委員会編『川と湖沼の侵略者ブラックバス――その生物学と生態系への影響』(2002・恒星社厚生閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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