ブラックバス(読み)ぶらっくばす(英語表記)large-mouth bass

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラックバス」の意味・わかりやすい解説

ブラックバス
ぶらっくばす
large-mouth bass
[学] Micropterus salmoides

硬骨魚綱スズキ目サンフィッシュ科に属する淡水魚。ブラックバスは俗称で、標準和名はオオクチバス。またラージマウスバスオオクチクロマスの別名もある。北アメリカ大陸東部の原産で、近縁種にコクチバスM. dolomieuiなどがいるが、ブラックバスは口の後端が目よりも後ろに達することでこれらと区別できる。幼魚には体側中央に暗色の縦縞(たてじま)があり成長とともに不明瞭(ふめいりょう)となる。日本には1925年(大正14)箱根の芦(あし)ノ湖に釣魚として移殖された。その後、私的な放流が繰り返され、現在では東北地方以南の各地湖沼に分布するようになった。肉食でエビ類や小形の魚類を貪食(どんしょく)するため生態系への影響が心配されている。産卵期は5~7月で、雄がつくった産卵床に雌が粘着卵を産む。その後は雄が卵と孵化仔魚(ふかしぎょ)を保護する。3、4年で成魚となり体長50センチメートルに達する。

 アメリカではもっとも重要なゲームフィッシュの一つであり、日本でもその強い視覚捕食性を利用したルアーやフライによる釣りの対象魚として人気が出てきた。皮に独特の臭みがあるが、それを除くと美味である。ただし、本種の寄生虫や疾病には不明な点が多く、生食は避けたほうがよい。

[朝比奈潔]

釣り

ブラックバス専用のルアーを、リール竿(ざお)で投げて釣る。水面から底までをトップ・ウォーター、シャロー・レンジ、ミッド・ウォーター、ボトム・レンジの四つに分け、各層で魚を誘い出すルアーを使い分ける。

 ルアーはリールを巻くスピードや竿の使い分けなどによって、それぞれ個性的な動きの変化をみせ、これがブラックバスを誘惑する。また、プラスチック・ワーム(ミミズ)の擬餌鉤(ぎじばり)で底を専門にねらっても釣る。

 ゲーム性の高い魚だからルアーで釣るのが本筋で、アメリカではトーナメント賞金などで暮らすバス・プロといわれる人たちもいる。餌(えさ)釣りならドバミミズや生きたモエビでのウキ釣りで楽しめる。春から秋が好機

[松田年雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラックバス」の意味・わかりやすい解説

ブラックバス
black basses

スズキ目サンフィッシュ科オオクチバス属の魚。カナダ南部からメキシコにかけての湖沼,河川に分布し,8種ほどが知られるが,各地に放流もされている。オオクチバス Micropterus salmoides は静水に最も普通のもので,全長は普通 40cmぐらいであるが,1m近くにもなる。日本には 1925年に移入され,神奈川県芦ノ湖に放流されたものが最初といわれる。

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