日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーリーフ」の意味・わかりやすい解説
サーリーフ
さーりーふ
Ellen Johnson-Sirleaf
(1938― )
西アフリカ、リベリアの政治家、経済専門家。2005年秋のリベリア大統領選で勝利し、民主的手続を経て選ばれたアフリカ初の女性元首となる。数々の政治的挫折(ざせつ)にもくじけなかったことから「鉄の女」とよばれる。アメリカより当時の国務長官ライスや大統領夫人ローラ・ブッシュLaura Welch Bush(1946― )らが臨席した2006年1月の大統領就任式で、「国民の最大の敵である汚職と戦う」と宣言した。
首都モンロビアに生まれた。祖父の1人はドイツ系。モンロビアの西アフリカ大学を卒業後、アメリカに留学。コロラド大学で経済学、ハーバード大学で公共政策学を修めた。帰国後は、ウィリアム・トルバートWilliam Richard Tolbert Jr.(1913―1980)政権下で財務次官および財務相を務める。1980年に軍曹サミュエル・ドウSamuel Kanyon Doe(1951―1990)がクーデターで政権を握ると、ケニアのナイロビに亡命、アメリカの銀行・シティバンクのアフリカ地域事務所副代表となる。1985年に帰国するが、禁錮(きんこ)刑を言い渡され、短期間の服役後、アメリカに移住。民間銀行の幹部や国連開発計画(UNDP)アフリカ局長などを務めた。
リベリアでは1989年末、国民愛国戦線(NPFL)を率いる将軍チャールズ・テーラーCharles McArthur Ghankay Taylor(1948― )が蜂起(ほうき)し、7年間の内戦になった。サーリーフは1997年に帰国し、7月の大統領選でテーラーに挑んだが敗れた。しかしテーラーはその後、反政府勢力の蜂起で窮地に陥ったうえ、国連から戦犯容疑で訴追を受けて2003年8月に国外亡命した。
[宮明 敬]