国連開発計画(読み)コクレンカイハツケイカク(その他表記)United Nations Development Programme

デジタル大辞泉 「国連開発計画」の意味・読み・例文・類語

こくれん‐かいはつけいかく〔‐カイハツケイクワク〕【国連開発計画】

ユー‐エヌ‐ディー‐ピー(UNDP)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国連開発計画」の意味・わかりやすい解説

国連開発計画
こくれんかいはつけいかく
United Nations Development Programme

略称UNDP開発途上国に対する技術援助活動を目的として、1966年に設立された国連の機関。2001年現在、170以上の国と地域でプロジェクトを進めている。その援助は、開発途上国が人的および物的資源を生活水準と生産性の向上のために最大限に利用できるように行われ、資源開発のための事前調査、経済計画の作成、研究所の設立などのプロジェクトへの専門家の派遣や機材供与とか奨学金供与などを内容としており、国連および国連食糧農業機関国際労働機関など国連関連機関を通じて行われる。その資金は、国連およびその機関の加盟国からの自発的出資金によってまかなわれている。1990年から「人間開発報告書」を毎年発行し、各国の平均寿命、教育レベル、実質所得などを総合した人間開発指数HDI)を提示し、持続可能な人間開発や後発の開発途上国への重点的資金援助を行うようになった。そのほか、人間貧困指数HPI)、ジェンダー開発指数GDI)なども発表している。本部はニューヨークにある。

[佐分晴夫]

『国連開発計画編『人間開発報告書』各年版(国際協力出版会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国連開発計画」の意味・わかりやすい解説

国連開発計画
こくれんかいはつけいかく
United Nations Development Program; UNDP

国際連合の開発援助機関。1966年1月,国連特別基金と国連拡大技術援助計画が統合されて発足した。経済社会理事会の下部機関の一つであり,発展途上国に対する技術援助と投資前調査を中心とする援助活動を行なう。UNDPの援助計画では,投資資本の誘致,職員の技能訓練,および近代技術の導入を目的とするプロジェクトに資金を提供する。また専門家による援助を提供し,発展途上国の統治能力を向上させるために,公正かつ対応に優れ国民参加を可能とする政治司法機関を構築すること,雇用増大をはかるために国内経済の民間部門を拡大することを目指す。近年では貧困削減,エイズの治療と HIV感染対策の戦略策定,環境保全のためのエネルギー経済政策の推進,通信と先端技術の基盤施設拡充などを目的とする計画に集中してきた。125ヵ国以上の発展途上国現地で常駐代表がその他の国連機関・計画や非政府組織 NGOとの間で活動を調整する。本部所在地はアメリカ合衆国のニューヨーク。

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改訂新版 世界大百科事典 「国連開発計画」の意味・わかりやすい解説

国連開発計画 (こくれんかいはつけいかく)
United Nations Development Programme

国連加盟国の自発的な特別拠出金を主要財源として,開発途上国への技術援助を行っている国連機関。UNDPと略称。事務局はニューヨークにある。国連拡大技術援助計画United Nations Expanded Programme of Technical Assistance(1950発足)と国連特別基金United Nations Special Fund(1959発足)を統合して1966年1月に発足した。管理理事会,機関間諮問理事会,事務局によって構成されている。管理理事会は経済社会理事会で選出される36ヵ国(発展途上国20ヵ国,先進国12ヵ国,東欧4ヵ国)で構成されている。管理理事会で承認された国別開発計画に基づいて援助が実施されるが,国連専門機関等に実施を委託することが多い。
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百科事典マイペディア 「国連開発計画」の意味・わかりやすい解説

国連開発計画【こくれんかいはつけいかく】

United Nations Development Programmeの頭文字からUNDPとも。国連の各機関に開発計画の資金と技術の供与を行う機関。1966年設立。低所得国向けを重視しつつも,民族解放運動や地域間協力にも重点を置いて開発協力活動をしている。最近はNGO(非政府組織)への協力もスタート。1990年から《人間開発報告書》を刊行,そのなかで人間開発指数(HDI)を国別に公表し,〈持続可能な発展〉を支える社会的条件の改善をアピールしている。
→関連項目国際連合国連ボランティア豆満江開発計画

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知恵蔵 「国連開発計画」の解説

国連開発計画

国連拡大技術援助計画と国連特別基金を統合し、1966年1月に設立された国連(UN)の専門機関。経済社会理事会(ECOSOC)に直属。国連の加盟国が自動的にUNDPの加盟国となる。最高意思決定機関は執行理事会で、理事国数は36カ国(3年ごとに改選)。本部はニューヨークで、発展途上国の132カ国に常駐事務所をもつ。総資金額は47億2200万ドルで、職員数は5000人強(2006年度)。「持続可能な人間発展」を基本理念に掲げ、民主的統治の実現、貧困の緩和、紛争の予防と紛争後の復興、環境の保全と持続可能なエネルギーの開発、情報通信技術の開発、及びエイズの撲滅、の6分野を重点項目としている。1990年以降『人間発展報告書』を刊行し、人間発展指数などを公表している。UNDPが国連総会から管理・運営を委任されている機関として、国連資本開発基金(UNCDF : United Nations Capital Development Fund)、国連婦人開発基金(UNIFEM : United Nations Development Fund for Women )、国連ボランティア(UNV : United Nations Volunteers )がある。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

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世界大百科事典(旧版)内の国連開発計画の言及

【科学技術政策】より


[国際機関]
 全地球的視野で解決を要する天然資源,食糧,環境,衛生,エネルギーなどの諸問題についての活動が展開され,また発展途上国の国民経済の発展を図るための科学技術力の強化を図る援助活動が続けられている。国連における〈開発のための科学技術政府間委員会〉〈新・再生可能エネルギー政府間委員会〉などは総合的なものであるが,発展途上国援助につき国連開発計画(UNDP),国連貿易開発会議(UNCTAD),国連工業開発機構(UNIDO)などの機構において技術協力が活発化しており,また宇宙空間平和利用委員会,国連環境計画(UNEP)などの活動のほか,国際原子力機関(IAEA),国連食糧農業機関(FAO),世界保健機関(WHO),国連教育科学文化機関(UNESCO)等の専門機関が,それぞれ技術援助や情報活動を行っている。また経済協力開発機構(OECD)においては,科学技術政策委員会(CSTP)などいくつかの委員会で交流が行われている。…

※「国連開発計画」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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