改訂新版 世界大百科事典 「ザウエルブルフ」の意味・わかりやすい解説
ザウエルブルフ
Ernst Ferdinand Sauerbruch
生没年:1875-1951
ドイツの医学者。デュッセルドルフ近くのバルメン(現,ブッパータール)に生まれ,ブレスラウ(現,ブロツワフ)大学でミクリチ・ラデツキーJohann von Mikulicz-Radecki(1850-1905)について外科学を修めた。胸腔内圧の差異について詳しく新知見を報告し,胸腔内の外科手術操作を可能にして胸部外科という新分野を開拓した。1910年チューリヒ大学の正教授に就任,18年ミュンヘン大学,27年ベルリン大学に転じた。肺結核治療のための脊椎側胸郭成形術を考案し,また切断された上腕の断端筋肉を利用して義手を動かす手術に成功し〈ザウエルブルフの腕〉と称された。2頭の並体癒合Parabioseされた動物を1個の腎臓で長期間生存させ,現在も動物実験で使われる並体癒合の技法を創始した。
執筆者:本田 一二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報