家庭医学館 「シアン中毒」の解説
しあんちゅうどく【シアン中毒 Cyanide Poisoning】
シアン(青酸化合物(せいさんかごうぶつ))は、酸素を運ぶ血液のはたらきを阻害し、窒息(ちっそく)させます。
輸入穀類や果物の燻蒸(くんじょう)、金属のメッキ、アクリル樹脂や繊維の製造などに使用されています。たいていは、これらの職業に従事する人に中毒がおこります。
家庭では、火事でアクリル繊維や樹脂、ポリウレタン、ナイロンなどが燃える際に出るシアン化水素(青酸ガス)を吸い込んだときにおこります。
1984年に「グリコ・森永事件」で犯人がチョコレートに混入させた青酸カリも、このシアンの一種です。
[治療]
口うつしの人工呼吸を行なってはいけません。
人工呼吸、100%酸素の吸入と同時に、亜硝酸(あしょうさん)アミル、チオ硫酸(りゅうさん)ナトリウムなどの拮抗薬(きっこうやく)を使用します。心停止(しんていし)がおこっていなければ、たいていはこの治療で救命できます。